だが、日暮さんは、きらきらした笑顔で


「どうでしょう?」

と尋ねてきている。

「はい。喜んで・・・」

この時の麻日の顔はただ張り付けただけの

引きつった苦い顔だったであろう。


「まぁうれしい!」と喜ぶ彼女の前でこの

顔はいかがなものかと思うが、幸い彼女が

鈍感でこの麻日に気づいていなかった。


麻日の心は不安という雲で覆い尽くされて

いた。

だがその不安を裏切る様に現実は

じりじりと日差しを照りつかせ

太陽が雲ひとつない

真っ青な空に浮かんでいた。