いつもの出勤の途中
駅前を歩いてると
一人の男の子が
ギターを弾きながら
歌っていた


“めずらしいな〜
このへんにもいるんだ〜”


このへんは
歓楽街で酔っぱらいと
水商売の人達ばかりで
聞く耳を持ってくれる人
なんていない


麗華もその一人で
立ち止まることは
なかった


だけど
店に着いてからも
あの男の子が
奏でたメロディーが
耳について離れなかった