恋愛コンプレックス。


「あ、あんたね……。」




私はキレる寸前だった。翔を蹴飛ばしたい気持ちをなんとか抑え、冷静を装っていた。




「てか、ここって...。」




走り続けてたどり着いた場所は、ゲームセンターだった。




「本当に遊ぶんだ……。」




友達と遊ぶのなんていつ以来だろう。




「なんか欲しいのあるか?取ってやる。」




「そんなのいらな……。」





周りには可愛い景品たちがたくさんある。





うぅ……指が自然と動く...。




「あ、あれ欲しい...。」





私が選んだのはブサイクなウサギのマスコット。
結局誘惑に負けてしまった。この犬あなどれない...。




「あれな。任しとけ!」




翔は私が指さした台の前に立ち、お金を入れた。






一一一一一数分後。




「で、まだ取れないの?」




「ちょ、ちょっと待ってろ!もーすぐだから!」




さっきからずっとそう言ってるじゃん。




一体いくらつぎ込んでるんだろ。




その辺りをぶらぶらして、戻って来る度にこれかい……。




まぁぶらぶらっていうか...




「お前、どんだけUFOキャッチャー上手いんだよ!」




片っ端から台を攻略してるんだけどね。




「あんたはド下手だね。お金もったいない。」




「ちっ...るせーな!」




翔はイライラしながらアームを移動させている。いい加減なやり方だと思ったその時。




「やった...とったどーー!!!」




アームはしっかりマスコットを捕らえ、綺麗に取り出し口に落ちた。




すごい。ゲーセンで感動するなんて思ってもみなかった。




「お、おめでと。」




「結衣見てたかっ?この俺の華麗なテクニックを!!」




「ふふっ...大げさだよ。」




……はっ!!しまった。思わず笑っちゃった!





「お前……。」




どうせ笑顔が不気味で気持ち悪いとか言うんでしょ。もう慣れてるから良いけど。




「可愛いな。」




「...はっ?!」




何?!何なの?!今何て言った?!




「ん?……あっ!いや、えっと...。」




なんで取り乱すの?!混乱してるのこっちなんだけど!