ムリムリ絶対無理!!
精一杯首を横にふる私。でも翔は満足気な表情を見せている。
「がんばろーな結衣!」
本当に犬だな...。正確に言うと駄犬。
そういえば、私は未だにこの男をよく知らない。バカって事は分かるけど、それだけっていうか…………
って、知ってどーすんだ私!!
気持ちを切り替えようと両手で顔を挟みパンッと叩いた。
一一一一放課後。
「結衣、行こー……っていない!!」
それもそのはず。私は隙を見計らって翔から逃げてきたのだから。
「急がなきゃ...もう5分も遅れてる。」
ていうか帰りのHR長引きすぎでしょ!こっちにだって用事があるんだよ!
イライラしながら私は早足で集合場所である体育館に向かう。
が、しかし。
「あ、いた!!」
げ…よりによって今1番会いたくないやつが現れた。
「翔だ...。」
「あ?なんだよそのあからさまな落胆ぶりは。」
こいつ落胆って言葉よく知ってたな……。実は頭良いとか?
「探しても全っっっ然いねぇから帰ったのかと思った。」
前言撤回。やっぱバカだ察しろ。お前から逃げてたんだよ!
「んなわけないでしょ。それより時間過ぎてるから早く行かないと。」
「え、行くの?あんだけ嫌がってたじゃん。」
あぁもうホント……殴ろうかな。誰のせいでこうなったと思ってんの!
「なぁなぁ。そんな事より、今から遊び行かね?」
?!
待って、私の話聞いてたか?時間遅れてるって言ったんだけど。
遊びになんて行けるわけないでしょ!
「行きません。それより早く...。」
「おっし決まり!」
「えっ?」
その言葉と同時に腕を引かれた。だんだんと体育館から遠ざかっていく。
「え、ちょっ...なんで?!」
「いーからいーから!」
なぜかすごく楽しそうな彼を見て、私までそんな気持ちにさせられそうになった。
なんでこんなに振り回されなきゃいけないの!?
