次の日から翔は、何かと私に付いてくるようになった。
「...あの〜……。」
「ん?どーかしたか?」
いや、「ん?」じゃない!
「あんまり...ベタベタしないでくれる?」
「いーだろ別に。俺ら友達になったんだしさ!」
よほど友達ができたことが嬉しかったらしく、休み時間、登下校中、更には授業中と、翔は私に懐き常についてくる。
ましてや今は授業中。にも関わらず私の席の横に椅子を並べて頭をスリスリしてくる。まるで犬だ。
「広瀬くん!何をしてるの!ちゃんと席に着きなさい。」
先生が注意すると、ニコニコしていたはずの彼の表情が殺気に満ちていく。
「あぁ?!」
「威嚇しないで席に戻って。」
私が言うとこの犬は渋々席に戻った。
「じゃあ5月に行われる体育祭の実行委員を決めまーす!立候補者は手を挙げてねー。」
体育祭……この学校はもうそんな時期か。
とりあえずここは静かにやり過ごすのが1番。何か言ったり目立った事をすると、その流れで実行委員にされる。
「なぁなぁ結衣!一緒にやんねー?」
話しかけてくんなー!!しかも大声で!
「いやぁ...でもほら、私運動苦手だし...。」
そう言う私なんかお構い無しに翔は私の手をとり、無理やり挙げた。
「俺結衣とやる!」
「はぁ?!ち、違います!こいつが勝手に言ってるだけで私は別に...。」
なんとか委員を免れようと必死な私を見てニッコリ笑った先生が放った言葉は……
「よろしくね。広瀬くん、大戸さん♪」
な、な、なんでそーなる!!!!