「そうだ広瀬くん。後で大戸さんに校内を案内してあげてね。」




先生の言葉に耳を疑った。




よりによってこの人と一緒なの?!
さっきからずっと私を睨んで殺気立ってる気がするんですけど!




「うす。」




いや、「うす。」じゃねー。てか前向けよ。




「お、お願いします...」




この状況で断ったら自分は確実に殺されると悟った私は渋々言った。





お昼休み。




私はあの男に連れられて、校内をまわっていた。




てか本当、何この人。




私の前をただズカズカ歩いてるだけでさっきから一言も発しない。




これじゃ案内じゃないじゃん。




「あ、あのー...。」




恐る恐る声をかけると、ピタッと足を止めこちらを振り返った。




まさか振り返るとは思っていなかったため、向かい合わせになると途端に緊張してしまう。




「……あんだよ。」




ヤバい。怒ってるのかな。朝より機嫌悪いみたい...。




「え、えーと……。」




そう言いながら辺りを見まわすと、いつの間にか景色が変わっていた事に気がついた。




「わ...ここ屋上か。意外と景色良いじゃ...」




最後まで言いきれず、びっくりして思わず固まってしまう。




それもそのはず。彼が私の顔をのぞき込んでいたのだから。