あ、分かった。あれだよあれ。
いつもはうるさいやつが失恋とかして急に黙り込んじゃうみたいな?
そりゃあ確かに落ち込むよな。こっちだって気になるし。うんうん。
まぁ失恋かどうかはさておき、聞いてみるとするか。
「な、なんか今日静かじゃない?」
私が聞くと、翔は大量の三角コーンを抱えていた手を放した。
「ちょ、何してんの...?!」
もうわざとにしか見えなくなってきた!コーン片付けなきゃ……。
柔らかかっため、床を打つ音は出なかったものの大量のコーンがあちらこちらに散乱している。
「...変だったか?!俺、なんか間違ってた?」
「は?」
意外な答えだな。てっきり開き直ってワンワン吠えられるのかと思った。
てかコイツ、もしかして分かってて静かにしてたの?
なんだよ焦ったー。心配して損し……
してないしてない!!心配なんてしてない!
そんな事を思っていたら、翔が首に手を当てた。
「いや俺ってさー、変じゃん??」
あ、自覚あるんだ。
そうだね。かなり変わってる。
出会っていきなり睨んできたり、かと思えばゲーセン行こうとか言い出すし……。
「あーうん……?そうなの、かな…?」
ここはひとまず曖昧な返事をしておこう。
変人だなんて言ったら何をされるか分からない。
「でもそのせーで結衣に迷惑かけてるんだったら、あんまりグイグイ行かない方がいーのかなって思って。」
「それで喋らなかったの?」
「まぁそんなとこ。」
もしかして、翔は翔なりに私に気を使ってくれていたんだろうか。
昨日のことは自分のせいだと、反省してるのかな。
もしそうなら、私も反省しなきゃな。
ただの変人でバカなやつじゃないって事が分かったから。
「もしかして不器用?」
あ、ついポロッと聞いてしまった。そんな事言いたいんじゃないのに。
「あぁ!昔っから器用な方ではないけど?」
「え?あ、そっち?へぇ、そうなんだ。」
不器用ってそっちの意味じゃねー!!
普通間違えるか?この流れで!!
