「本当に、すみませんでした。」
翌日。案の定サボりがバレて、先生に怒られた。
誰かに叱られるの、いつぶりかな。
「ちょっと大戸さん!聞いてるの?」
「あっ、はい...。」
なんで私まで説教されなきゃいけないんだ。
元はといえば全部私の隣に立っているコレのせいだというのに。
にしてもコイツ、さっきから一言も喋らないな。てか、なんか先生を睨んでるように見えるんだけど……。
「分かった?大戸さん、広瀬くん。」
「はい……。」
返事をしたのは私だけだった。
「ひ、広瀬くん...?あああなたも!」
先生怯えすぎですって。絶対謝らないなコイツ。早くお説教終わらせたいのに。
「ぅす。」
あ、言った。謝ってはないけど言ったね。
先生も満足そうだし。
良かった良かった。
「ふぅ、やっと開放された...。」
放課後になるまで翔とはなるべく関わらないようにしよう。また、振り回されたら大変だ。
と、思っていたはずなのに……。
放課後になり、私は昨日より早めに体育館に行ったが、すでに全員集まっておりその中に翔の姿もあった。
「お、遅れてすみません……。」
今日で謝ったの2回目。なんなんだ今日は...。
なんで翔は今日に限ってちゃんと来てるんだろう。
前から気分屋だとは思ってたけど、ここまでバカにされるとさすがに腹が立つ。
周りから迷惑そうな視線を感じながらも、私は集まりの中に入った。
「よし、全員揃ったな!」
げ、体育の先生...。この人苦手なんだよな。
無駄に暑苦しいし、無駄にうるさいし、そして汗臭い。
「今日は体育倉庫から用具を出してもらう!」
そんなの自分でやれよ。
なんでいちいち語尾上げるの?
それがウザさに拍車をかけてるんだって。
「……じゃあ出すものは今言った通りだ!」
あぁ面倒くさいな。さっさと終わらせちゃお。
倉庫へ向かい、鍵を開けて中へ入る。
仕事は順調に進んでいたのだが、ここでやつが現れた。現れてしまった。
「へぇ、倉庫って意外と暗いのな。」
「翔...。」
終わった。
オワタ。
頼むから暴走しないでくれよ。
「それ運んでくれる?」
必要以上に話さないでおこう。
「……ふい。」
あれ、普通に運んでるし。
なんだよ、出来るじゃん。
感心していると、ここで翔が口を開く。
「運び終わったけど、次どーすんの?」
「え?あぁ、えっと...これお願い...。」
あれ、なんでだろ。
理想の空間になったはずなのに。
なんか思ってたのと違うような...。
「…………。」
喋ってよ。なんか喋って。
なんでこう思うんだろう。