「べ、別になんでもないよ?」


脳裏に蘇る朝に光景に胸が苦しくなるのを押されながらヘラッと笑っていう。


うまく笑えてるかな、私。


今まで生きてきて、1番引きつった笑顔だったと思う。



レンくんには、バレないよね。



「本当かよ、その笑顔。いつもと違う」


そう言って、レンくんはこちらに歩み寄ってきた。



なんで、わかっちゃうかな。


っていうかレンくんが、そうさせてるんじゃん。


私だって、こんな胸が苦しいのがなんでかわかんない。


でも、レンくんのせいなんだよ。絶対。



「言ってみろよ、ハナ」


「う、うるさいよレンくん」


「うるさいよってなんだよ」


「そ、それは.............っていうかなんでもないって、言ってるじゃん」


「ウソつけ、そんな泣きそうな顔して」


「泣きそうになんかなってないっ。ホントになんでもな.............んっ」



若干震え気味になっている声で否定しようとすると、柔らかいものが唇に触れた。