入学して、少し慣れてきた頃。
最近、レンくんはこうやって私をドキドキとさせることをする。
他の女の子にはしないことに、なんか少し.............嬉しさにも似た戸惑いを覚える。
だけど、やっぱりこんなにドキッと鼓動がうるさくなることは、しないで欲しいかな.............なんて。
それに、どうして、私にだけこんなことをしてくるのかもわからないし。
「どうして、ギュッてするの?」
珍しく私が抵抗するのをやめて顔をチラッとあげながらそんなことを聞いたら、
「.......だって、お前が、可愛いから」
とレンくんは少し驚いたように、目を見開いてからこんな恥ずかしいことをさらっと答えた。
「〜〜っ、な、なに言ってるの...........」
前に、一回同じ質問した時は無言でスルーされたから今回もスルーされるかと思っていたのに、レンくんは私を真っ赤にさせる返答をする。
「あぁあ、真っ赤になっちゃってカワイーーー」
「か、からかわないでっ!」
「からかってないし」
「ウソっ!」
「ウソじゃなーい」
「っていうか、離して!」
ウソだウソだと、言いながら身をよじるとレンくんは腕をほどいて、
「ウソなわけ、ないだろ」
真剣な表情で、こちらを見てくる。
「え.............」
「っていうのは置いといて、そろそろ席につかないと授業始まるよ」
「う、うん.............」
一瞬、切なげに瞳を揺らしたと思ったら笑顔で私の席を指差した。