「────っ、レンくん!!」
ガバッと起き上がると、なぜかレンくんが驚いたようにこちらを見ていた。
え、コレ夢じゃないの??
それになんで、私ベッドの中に!?
「っ、痛.............」
ズキンと頭に痛みが走る。
何が何だかよくわからないけど、以前頭がボーッとして物事が考えられない。
唯一わかるのは、
「.............ハナ」
苦しげに顔を歪めたレンくんが、目の前にいて私は誰かのベッドの中にいるということ。
「レンくん...........、」
何が何だかわかんなくて、レンくんの名前を呟いた。
せっかく、レンくんが目の前にいるのに私はただ見つめることしかできない。
レンくんの冷たい声が、目が、思い出された。
「話しかけるなって言われたのに、話しかけて悪かったな。歩けるようになったら、下降りて勝手に帰っていいから。じゃあな」
何も言えず、お互い見つめ合っているとフッとレンくんは視線を外して、抑揚のない平坦な声でこう言った。
そして、すっと立ち上がるとドアに向かって歩いていく。
行っちゃうのかな??
私が、話しかけるななんて言ったから。
大嫌いなんて、言ったから────
「待って、レンくん!!」
「.............」
そう呼び止めても、レンくんは止まってくれない。
ねぇ、待ってよレンくん。
話しかけないでなんて、ホントは思ってない。
レンくんが話しかけてくれないと、笑いかけてくれないと、私────
「話しかけないでなんて、ホントは思ってないっ。ねぇ止まってレンくんッ!」
「.............」

