呼び止める声を無視して、カバンを掴み教室を飛び出す。 帰る用意をしておいて、良かった。 下駄箱へと走る私の呼吸と同様に、心は苦しくキリキリと痛んだ。 本当に、レンくんは私を翻弄させる。 他の子と交わし合う笑顔も、 あの見たことのない冷たい目も、 冷たい声も、 キリキリと痛む心も、 拭っても拭っても溢れてくる涙も、 ぜんぶ、 私を翻弄させるから。