王様、私は貴方の頭の中が知りたいです。

 って、わかってる。
 本当に私のことを猫程度にしか思ってないってことは。

 麻里奈たちは、彰人と井川が席に来てくれたので、盛り上がっていた。

 いつもと変わりない風景。

 少し違っているのが、一体、なにがあったのか、菅野がこちらに近寄ってこないことだ。

 殺してくる、と彰人は言っていたが、とりあえず、生きてはいる。

 だが、なにがあったのか、かなり怯えているようだ。

 あの少々のことは平気な体育会系の男を怯えさせるとは。

 一体、なにが……?
と思ったのだが、とりあえず、彰人が持っていったあの巨大ステープラーで、指をパッチン、することくらいしか思い浮かばないのだが。

 ……想像するだけで、身の毛もよだつ光景だ。

「こちび」
と楽しく女子軍団と会話されていた王様がこちらに呼びかけてくださる。

「俺は週末は昌磨に会いに実家に帰ってくるが、寂しかったらかけて来い」

 だーれーが、かけるかっ。

 相変わらず、上から目線の彰人の顔にそう思う。

 だが、社内では話しかけてくるものの、外でのお誘いはなく、たいして話もしないまま、週末を迎えてしまった。

 かけて来い、じゃなくて、なんかもっと、他の言葉はないのだろうか、と猫は高望みをする。

『贅沢言ってんじゃないわよ、こちび』
という保奈美の言葉が頭をよぎりながらも。