彼は名前を葵と言った。葵は爽やかに微笑むと、「じゃあね」と言って背を向けた。私は彼の笑顔とえくぼが忘れられなかった。




「―――綾音?元気ないんじゃね?」




マリがそう言いかけてきた。

「それがさ…」

私は今朝の出来事を話した。途中からエルとカンナが入ってきて、私はもう一度話した。

一番最初に反応したのは、カンナだった。


「葵って…あの葵センパイ!?」


葵は学校で一番モテる。中三のセンパイ。彼はバスケ部。英語もネイティブでカッコイイ。


「私、センパイに恋してるわー❤」

「えー私だって!!」

エルに始まり、マリやカンナも騒ぎはじめた。