お好み焼きは俺が持っているが、高橋は割り箸のみを持ち、ぐるぐると回していた。



「お前は新しい人、いないのか?」



「俺の恋は、んな早々終わらねーよ」



「………そうか」



俺はこれ以上、高橋については話さなかった。



だが、もったいない。



すぐ近くに、お前を思う人がいるというのに。



そのことに気づけるか、だよな。



高橋の新しい恋にも、少し期待をしよう。



中庭に着くと、もう2人は座っていた。



俺たちに気づいたさくらが、手を大きく振り回して笑った。



ああ、やっぱり可愛い。



俺は1人、悶々と理性と戦っていた。







〈空海side end〉