隣で缶ジュースを開ける音がした。



「俺は大事だったんだよ、さくらのことが……。だから大切にしたかった。さくらに傷なんてつけさせたくなかった……」



缶を握りしめるかいくんの指先に、その言葉に、かいくんの後悔が現れていた。



「お互い悪かったということで。乾杯しよーぜ」



さっきまでの暗さはすっと消えていき、かいくんは空高くに缶を掲げた。



私も缶を開け、かいくんの持つ缶に届くように手を伸ばす。



カコンと仲直りの音が鳴る。



私たちが再び交わったのは、梅雨が開けた頃、蝉が泣き始める頃だった。