桜色タイムカプセル

チキンを握っていた手を洗い、お母さんがいるであろう玄関まで行った。



目を疑うような光景だった。



いつものお母さんでは考えられないくらいに、子供みたいに泣きじゃくるお母さんに。



大荷物を傍に置いて、泣いているお母さんを強く抱きしめているスーツを着た人。



5年ぶりに会ったその姿は、私の知っている人物と変わらなくて。



「お父さんっ……!」



私もお母さんと一緒に、お父さんの胸の中に飛び込んだ。



「遅くなってすまなかった、さくら」



優しげな声は全く変わらなくて、お母さんを大切に思う気持ちは変わっていない。



少しばかり、安心した。