嫌そうな顔を浮かべて、かいくんは先生の名簿を手で押し退けた。



「田宮はー、まあ、あの大声だ。大学くらいは聞いてやるよ。その間に、篠原はどうしたいか考えてれば良い」



そう言って、先生は椅子に腰掛けていたかいくんを引き上げ、学習室へと向かった。



かいくんも、先生も、私以外誰もいないこの教室は、とても寂しかった。



それでも、まだ私の耳に木霊するのは、かいくんのあの言葉。



「………教師」



確か、あの短期大学は、教育学部があったはず。