「かえせ孝太郎」
「嫌だ!」
「姉ちゃんのプリンやるから」
「う…嫌だ!」
一瞬目がくらんだ孝太郎だがなかなか今日はしぶとい。

「もぉ~二人共冷めちゃうわよ~」

痺れを切らした母さんが急かす。

「母さんの雷が落ちる前に早く隠した場所教えろってば孝太郎」
「教えたら姉ちゃん今度スイーツバイキング一緒に行ってくれる?」
「残念だが、ケンちゃんと勉強に忙しいから1年後だな」

嘘はつけないタチなのでバッサリと孝太郎を切り捨てる。

「姉ちゃん俺とケンちゃんどっちが大事なの!」

お前は私の彼氏か。

「ケンちゃんだな」
即答で答えてやるとむぅと頬を膨らます孝太郎。

ドン!!!!!とリビングに響き渡る大きい音にハッとしてその音の先に振り返る。

「あんた達私の昨夜から仕込んで作ったほかほかの出来たてご飯をさっさと食べろって言ってんのが聞こえないのか!あぁん?!!」

追伸、母明美は元レディース(ヤンキー)でその為、非常に短気である。