【江梨奈】



私の入院生活は、心のリハビリだった…


今まで、撮影以外で素顔をさらすことが無かったから


個室とはいえ、トイレは廊下を少し歩く

そして、食事は食堂へ


最初は、病人ファッションだったけど


「若いのに、どこが悪いの?」


廻りのおばあちゃん達が、心配してくれて


なんだか、申し訳ない気持ち




夜のトイレを素顔で行った日



「女優さんかい?」



ばったり会ったおばあちゃんに


「いえ、モデルです」



と、言ったことがきっかけで

お忍び入院なのだと、思われたらしく


「あたし達は、誰にも言わないよ!!
変装なんて、しなさんな!
綺麗な顔してるのに!勿体ない!!」


と、言われ



翌日の朝ごはんの後には


「あたし達は、あんたの味方だよ!!」


おばあちゃん達が、車椅子や杖をついて

部屋に来てくれた


私の髪色も、目の色も

綺麗だと、言ってくれた



看護師さんや患者さんの中には

Rieだと知って

サインを求めてくる人もいた


だけど、気持ち悪いとか

外国人とか

なんで、名前が日本人なのかとか


不思議と聞かれなかった