「君の、別のストーカーさんだよ。君のあとをつけていて、彼に気付いたんだ。彼は―――――」
無表情の男を指差す。
「街中で君を見かけて気に入ったんだってさ。もてるんだね、小川さん」
私は目を見開いて、新しく現れた男を見た。
・・・・なんてこと。また新しく、変態のバカ野郎が増えるとは・・・。
手の平に汗を感じて握り締めた。
・・・・・どうする。ここは確かに声は響くけど、周りの家の人が悲鳴を聞いたところで警察に連絡してくれるとは期待できない。
男が二人。
・・・・畜生。
出来るだけ、表情は変えない努力をしていた。
バカ二人を喜ばせることはしたくなかった。
細川がへらへらしながら言葉を続けた。
「これが絶対絶命ってやつだよな。彼はお前が欲しい。俺は桑谷に仕返しをしたい。手を組めば、案外簡単かもしれないと思ったんだ」
顔つきが変わった。完全にアッチにいっちゃった表情で、ベラベラとまくし立てる。
「お前が他の男に好き勝手やられてるとこを撮影して桑谷に送ってやるよ。泣き寝入りするしかない強烈なやつをな」
そうしてあらゆるところにばら撒いてやる。証拠がないから俺は捕まらないし、すぐに姿を消してやる。お前は死んだも同然。桑谷は非常な苦しみを味わう。
お前を世間の好奇心や嘲笑から守るには、どこか遠くに行って息を殺してじっとしてるしかないようになるんだ、そう言って、バカ野郎は楽しそうに笑う。
ムカついた。
腹を立ててる余裕があるのはいいことだ。それにあいつも逆上すれば、ばかげたミスをするかもしれない。



