「・・・冗談は顔だけにしてよ」
私が低く言った言葉に、男は顔をしかめる。
「・・・・本当に失礼な女だな。その顔で。一種の詐欺じゃないか?」
そして一度舌打ちをしてから、顎を上げて傲慢な顔で笑った。
「――――君の店の店長、福田さんって言うんだね」
私は表情を消した。
・・・・・何を言っている、この男・・・。
前でニヤニヤ薄笑いを浮かべたまま、男は小さな声で続ける。
「可愛い娘さんがいるんだ。小川さん知ってる?今年の新入社員で、〇〇会社に勤めている」
相変わらず小さな声でストーカー野郎は続けた。
「・・・君が来ないなら、彼女に乗り換えるよ」
有効的な脅しだ。
私はじっくりと目の前の男を睨んだ。
お得意の行動を福田店長にもしたんだろう。そして家まで着いていき、娘さんの存在を知った。多分、そんなとこ。
・・・・なんてこと。私のせいで、店長にまで。
店長の笑顔が瞼の裏に浮かんだ。
「どうする?一緒にくる、それともやめる?」
体から緊張を抜くために、そっと息を吐き出した。
「行くわ」
私の答えに頷いて、細川が近寄ってきた。
そして私に手を出して、軽く振った。
「携帯、預からせてもらうよ。犬に連絡されちゃ迷惑なんでね」



