6時過ぎだというのにすでに真っ暗だった。トレンチコートを合わせてマフラーをしっかりとまく。
寒い・・・。でもあと5分くらいで、私の部屋―――――――
その時、足音に気がついた。
ハッとして立ち止まる。
前方から響いて近づいてくる足音が、街灯の下まで来てから止まった。
「・・・小川さん、お疲れ様」
私は目を細めて、街灯に照らし出された顔を見詰める。
同じくらいの背の男が柔らかく微笑んで立っていた。
「・・・・・細川」
私の呟きに、ふふふと笑った。
「いきなり呼び捨てとは失礼だな。一応、君より年上なんだけどね」
・・・・え、マジで。と思ったけど、そんな反応をしている場合じゃない。
やっぱり見たことがあった。あの配送客の男だった。柔らかい表情で立っているけど、目が笑ってない。その目の感じにぞっとした。
「・・・今日は彼氏もいないみたいだから、出てきてみたんだ。一緒にきてほしいんだ、君に」
なんてこと。こんな時に。
そして、気付いた。
こんなタイミングがあるわけ、ない。桑谷さんの部屋の火事は――――――――――



