「・・・・くそう。よりによって、一番の心配性に・・・」

 呟いて、メールを返す。

『大丈夫、もう片付いた。婚約者とも仲直りしたし。弘美の仕事の調子はどお?ちゃんと食べてるんでしょうね?』

 そして楠本にも返信。

『こら、てめえ!弘美に言ったでしょ!?あの子が一番心配性なの判ってるんでしょうが!ストーカーはもうすぐ片付ける。あんたはこっちに構わず仕事と彼女の事だけ考えてなさい』

 まったく・・・と思ってもう一通をあけると、桑谷さんからで、お茶を噴出すかと思った。

『俺の部屋が火事らしい。呼び出しがあったから仕事は抜ける。いつまでかかるか判らない。また連絡する』

 ――――――――火事!?

 ・・・・あの、ほぼコンクリート一色といっていい火の気のない部屋が?

 前の席に座った社員さんが固まったままの私を怪訝そうに見たのが判ったので、とにかく、とお弁当を食べ始めた。

 でも味がわからなかった。

 ・・・・火事??

 呆然としたまま何とかお弁当は食べ終わる。そこで、ハッと気付いた。

 ・・・・桑谷さんは帰った。私は、今夜、一人で帰るんだ。



 早番だったから、6時には売り場を出た。

 店員通用門で、うーん、と悩む。

 まだ桑谷さんからの連絡はないけど・・・いつまでもここに居ても仕方ないしな・・・。風も冷たい。・・・うううーん・・・。

 よし、と息をついた。帰ろう。そして、彼からのメールを待とう。

 決めて、歩き出す。