・・・・・最初に彼に抱かれた時も、ホテルのこんな部屋だった。
寝ている男の寝息に安心して、自分が寂しく悲しかったのが判ったんだ。
しばらく彼を見ていて、それから立ち上がった。カーテンは閉めなかった。明日の海から昇る朝日が見たかった。
彼の隣には滑り込まず、もう一つのベッドのシーツをはがす。
今晩は、一人で眠る。私はそれも、渇望していた。
柔らかい感触を瞼に感じた。
温かい何かにつつまれたようだった。
ゆっくりと、少しずつ目を開けていく。
「・・・うん?」
何かが私を抱きしめていた。ハッといきなり覚醒して、身を起こそうともがいた。ただし、ガッチリと捕まえられていて、それは叶わなかったけど。
「・・・あれ、起きちゃったか」
耳元で低い声が聞こえた。
大きな手がお腹から擦り上がって、私の胸を柔らかく包む。耳朶と首筋に唇の感触。私はもがくのを止めて、力を抜いた。
「・・・ごめん、我慢出来なくて」
桑谷さんが同じシーツの中に入っていた。そして後ろから私を抱いている。
「・・・おはよう。一体、いつの間に・・」
私は呟いて、体を捻って彼の方へ顔を向けた。
夜が明けたばかりみたいだった。部屋は薄明るく、窓の方からまだ弱い光が差し込んでいる。
「・・・・さっき。起きたらベッドに一人で驚いた。隣のベッドに寝てると思ってなくて」
私は欠伸をしながら言い訳をする。昨日はあなた本当に疲れてるみたいだったから、と。



