私は一つ咳払いをして、追加の説明を述べた。
「・・・桑谷さんは私に結婚を申し込んでくれている奇特な人。楠本は、私の男の親友」
しばらく間があったけど、その後楠本が、お前も結婚するの!?と笑って言って、その場の空気がやっと溶け出した。
「・・・・友達・・・。すみません、楽しくやってるところにいきなり飛び込んで」
桑谷さんが、痛そうな顔をして自分の頭を叩いた。そして、ビール瓶や缶ビール、お菓子の包装紙や食べ散らかしたお皿の山などで荒れた居間を見回す。
座りなおした楠本が、いえいえと手を振った。
「ちょっと飲みすぎてて、いい酔い覚ましになりましたから」
「――――で、騙されたって、誰に?何だっていきなり飛び込んできたの」
ようやく落ち着いた心臓を慰めて私が聞くと、水貰うぞ、と言って彼は冷蔵庫を開けに行った。
「電話が来た」
「ん?」
「お前の部屋に男が入って、よろしくやってるらしいけどいいのかって」
「・・・はい?」
思わず楠本と顔を見合わせた。同時に意味を考えたらしく、これまた同時に大ブーイングをかました。
「うぎゃああー!!やめてよおおおおおお~!!有り得ない!こいつとは有り得ない!!」
「ないないないないないです。何があってもそれだけはない」
桑谷さんは水を飲むのも忘れて、うぎゃあ~気持ち悪い~、だの、マジで勘弁してくれ~だのと転がって嫌がる二人を見ていた。



