女神は片目を瞑る~小川まり奮闘記②~



 仕方ないからわざわざ百貨店の社員さんを捕まえて、手書きしてもらった。

 通りすがりの鮮魚売り場で桑谷さんがアルバイトに指示を出しているのが見える。

 短い髪にも慣れてきた。あれはあれで以前はなかった爽やかな印象が加わって案外いいかも・・・などと思う。

 でもやっぱり10代の学生と並ぶと・・・・おっさんだわ。

 そう思って、一人で笑った。


 本日の勤務終了で、お先に失礼しますと声をかけてロッカールームへと上がっていく。

 斎に襲われた記憶が二回もある北階段は、取り合えず平和になったからとまた使っていた。

 携帯を開いてメールや電話の有無をチェックしながら階段を上がる。着信はなかったけど、何と懐かしい男からのメールがあった。

「おお~!!」

 つい、興奮して声を上げる。

 弘美と話題にしたばかりの楠本からだった。

『まりっぺ元気か?届くか判らないけど一応先にメール送っておく。近々会いに行こうと思ってる。都合のいい日あれば教えといて。 楠本』

 あはははは、一応送っておくだって。

 そりゃあ、5年間もメルアド変えてないとは思ってなかったんだろうなあ。・・・変えてないんだけど。なんせ、その必要はなかったし、第一面倒臭い。

 楽しい気分ですぐさま返信する。

『弘美に会って話聞いたよ。お前が結婚するって聞いて喜んだ。今は販売員してるから、平日が休み。大体、火曜日か水曜日に休んでる』