女神は片目を瞑る~小川まり奮闘記②~



「・・・・誘ってるのか?」

「まさか」

「ストレスを感じると、それを癒そうとして人間も動物も性欲が増すんだ」

 彼の声がざらざらしていた。

 今ここで服を脱いだら彼と仲直りが出来るんだろうか?一瞬考えて、自分の頭を叩きたくなった。―――――そんなバカな。

 私は冷蔵庫からもう一本ペットボトルを出して、壁際の男に投げた。驚きもせずにそれを片手で受け止めた彼に言う。

「頭冷やして。帰るか、話すか、どっちでもいいからさっさとして頂戴。時間の無駄よ」

 桑谷さんが水をラッパ飲みして、長く息をはいた。

 そして私を見た。瞳の光は消えていた。


「・・・・俺が悪かった」


 私は皮肉な笑顔を浮かべる。

 そりゃそうでしょ。男女が喧嘩した場合、たいてい悪いのはヤローに決まってる。

 心の中でそう呟いた。