「・・・・誘ってるのか?」
「まさか」
「ストレスを感じると、それを癒そうとして人間も動物も性欲が増すんだ」
彼の声がざらざらしていた。
今ここで服を脱いだら彼と仲直りが出来るんだろうか?一瞬考えて、自分の頭を叩きたくなった。―――――そんなバカな。
私は冷蔵庫からもう一本ペットボトルを出して、壁際の男に投げた。驚きもせずにそれを片手で受け止めた彼に言う。
「頭冷やして。帰るか、話すか、どっちでもいいからさっさとして頂戴。時間の無駄よ」
桑谷さんが水をラッパ飲みして、長く息をはいた。
そして私を見た。瞳の光は消えていた。
「・・・・俺が悪かった」
私は皮肉な笑顔を浮かべる。
そりゃそうでしょ。男女が喧嘩した場合、たいてい悪いのはヤローに決まってる。
心の中でそう呟いた。



