ペットボトルをシンクに置いた。片手で瞼を揉んでいる彼に体を向ける。
「・・・説明が聞きたいんだろう?」
彼への返事として首を振った。
「もういいわ、必要ない。不快な思いまでして聞きたくない。あなたが話したがらないことを無理やり聞き出したって、更に不快になりそうよね、あなたのその態度だと」
一度頭を振って深呼吸をする彼を見る。怒りを抑えているのだと判った。
私と視線をあわせ、表情を消した彼が言う。
「俺が君を大切に想っていることは判っているはずだ。あんな・・・職場で、それを盾に取るなんて」
彼は細めた目に怒りを込めてギラギラ光らせていた。
私はフン、と挑戦的に顎を上げる。
「それはごめんなさい。―――――私は、目的を達成するためなら使えるものは何でも使うのよ」
相手と同じように腕を組んでシンクにもたれ、付け加えた。
「我慢なんてしないわ」
舌打ちをした彼がじっとこちらを見詰めた。眉間に皺をよせて、瞳を細めて。
怒りを全身から発散していた。
私は乾く唇をなめて湿らせる。
彼と対峙している。
空気は緊張してピリピリと音がしそうだった。
無意識にもう一度舐めた舌先を彼が目で追うのが判った。



