「・・・ハロー?」
問いかけると、動く気配が伝わってきた。何かに座ったようだった。・・・ベッドが軋む音かな?
そして大きく息を吐く音が聞こえた。長らく呼吸を忘れていたらしい。
『―――――――・・・・届け出すのに、2時間もかからねーぞ』
小さく声が聞こえた。
「その後で、指輪を買いに行きたいの」
『うん』
「実は、どれが欲しいか決めてあるの」
『・・・なら5分で済むな』
「そしてその後で、新婚初夜を迎えるの。2時間、要るでしょ?」
『・・・だったら、2時間じゃ足りねーな』
そう言いながら、桑谷さんは笑い出していた。
電話の向こうで私の夫となる人が、上機嫌で笑っていた。
私は両親の家の方を見て、大きく手を振った。うまくいった、の合図の代わりに。
沖縄から戻った私は、なんと驚く大金を手にしていた。
最初の夜の晩餐で、両親が私に一冊の通帳を手渡してこういったのだ。
「お前のお金だよ」
私は黙って受け取り、中を開けて腰を抜かすかと思った。そこに書いてあった金額は504万円。
一度見て閉じ、また見直した。ゼロの数が間違ってるんじゃないかと思って。
「・・・・一体、何?」
閉じた通帳をつき返しながら、私が父に聞くと、父はそのまま母を振り返った。



