1月とは思えない柔らかい風が吹いて、繁忙期で疲れた私の心身を癒す。のんびりと両親とビールを飲んでいて、まっさらな頭になったようだった。
「お前の心は、決まったのか?」
父を見た。笑い皺を顔中一杯に作って、穏やかに私を見ていた。
「それを決めるために、ここにきたんだろう?」
――――――やっぱり、バレてたんだ。
可笑しくなって笑う。私はいつまでも、この人たちの子供なんだ。離れて暮らしても、すべてお見通しな感じがした。
「・・・多少、危険な人なの。いろんな意味で。だけど、大切にしたいと思ってるのよ」
父は頷いた。言葉はなかった。
母も頷いた。だけど、こちらは忠告があった。
「なんであれ、彼に危険がまとわりつくなら、まりが用心することよ。教えたことは忘れてないでしょうね?」
わたしも頷いた。
報道カメラマンの母は戦場や危険な国にも飛んでいく。私はそのせいで、小さな頃から一通りの護身術と警戒心、そして物事へのドライな見方を学ばされたのだ。
一番大事なのは、生き抜くこと。
生きてさえいれば、いつかかならずいい事はあるのだから、と。
一人になっても立っていられること。
「大丈夫よ」
笑って、言った。
去年、トチ狂ってしまって自殺しかけたことは内緒だ。あれは、本気で恥だった。両親には絶対に言えない酷い有様。原因となったバカ男に仕返しが出来て、私はラッキーだったのだ。



