父と母が顔を合わせた。二人とも別に驚かずに、静かな、それでいて面白がっているような顔をしていた。
暫くして、父が言った。
「判った」
そして母も続ける。
「式はあげるの?」
私はしばらく無言になった。・・・・えーっと。うん、大変あっさりとした会話になってしまったわ。
「・・・式を挙げようとは思わない。ってか、他に聞くことないの?どんな人か心配じゃないの?」
父がビールを飲んで美味しそうに笑う。
そして私の方をくるりと向いた。
「お前は、30歳だろう?」
「そうね」
あなたたちが教えてくれた生年月日が間違ってなければね、と心の中で突っ込む。成り行きがわからなくて仏頂面になった娘を優しく見て、父が笑う。
「もう十分、自分で色々経験したはずだ。お前が選んだのなら反対や心配なんてしない」
「・・・はあ」
「それに」
母が父の後を続ける。
「一生で、結婚は何回も出来るのよ。一度くらい失敗したって大丈夫」
・・・・・・はい、まあ、確かに。おっしゃるとおりですが。
とてつもない興奮や反応を期待していたわけではない。だけど、沖縄に引っ込んで毎日海を見る生活を始めてから、確実に両親の性格は丸くなっている。
・・・・こんなに何も突っ込みがないとは思ってなかった・・・。何だったのかしら、私の悩んだ日々は。
拍子抜けした状態で、改めてオリオンビールを飲んだ。



