目が覚めたら朝だった。
起きると母が私の方へ来て抱き起こしてくれた

「おはよう日向。」
「うん。おはよう。」

当時私は2歳。とある田舎で母とふたりで暮らしていた。

「ほら日向、早く支度して!保育園遅れちゃうでしょ。」

「うん。」

まだ寝ぼけている私に母は服を着せながらそう言った。

「行ってきまーす!」

私は保育園が嫌いだった。友達は誰もいなかった。いつも1人で砂場で遊んでいた。唯一の楽しみは、たまに来て遊んでくれる園長先生だった

保育園から帰るとき家ではなくおばあちゃんの家によく行った。
おばあちゃんと遊ぶのが好きだったから。

そんな単純な毎日を送っていた。

そんなある日母が倒れた。
おばあちゃんと一緒に救急車に乗った。私はとても心配で泣いていた。

「お母さん!お母さん!」

ずっとそう言ってお母さんを見ていた。
後から聞いた話だが、母は持病で倒れたのだと聞いた。

母はすぐに退院でき、家に帰ってきた。

「ごめんね。」

母はそう呟いた。

数日後、ある人が家に訪問してきた。
その人に私は手を無理やり引っ張られ泣き叫んだ。それを見ていた母は私のことを見ながら泣いていた。私のことを止めてくれなかった。
そのまま車に乗せられどこかに向かっている最中、私はずっと泣いていた。

「泣くのをやめなさい!」

と女の人が私に行ってきた。

まだ小さかった私はその人の家に行き次第に家族として慣れていった。
私は何もわからないまま毎日を過ごした。

ある日、私は連れられとある病院へ行った。
そこには久々に見る母がベッドで横になっていた。どうしたんだろうと思っていたがその時の私は何も思わなかった。

そして女の人の家に帰ったときにその人がこれからはお母さんと呼びなさいと言ってきた。その時は嫌だったが私は小さく頷いた。

そして、母は私が2歳の時に持病で死に私が気づいた時には父もいないことをようやく知ったのは私が新しく入った幼稚園で年中さんになった頃だった。
お母さんと呼びなさいと言ってきた女の人は、母のお姉さんにあたる人であった。
私は小さいながらも複雑な家庭事情に見舞われてしまったのだ。