まだ、野球部グラウンドの周囲を回って、道路を渡って、校庭に入ったばかりのところなのに。
最低でも校舎の玄関までは笑顔で走って、友哉に「じゃあねっ」って手を振って別れようと思ってたのに。
もう隠しようがないほど、胸がゼイゼイいって、足がガクガクする。
つまずいて地面に膝をついてしまった。
「どうした、あゆみ!」
二、三歩行き過ぎた友哉が、あわてて戻ってきてくれた。
「…だいじょ、ぶ、だから……」
友哉は走り込みの途中なんだから。
僕のせいで、足を止めたりしちゃ、いけないんだから。
そう言いたいのに、息が苦しくて、言葉が出ない。かわりに、たてつづけに咳が出た。
「全然、大丈夫じゃねーじゃん!」
友哉の腕が背中に回されたのを感じた。
「ゆぅ…や…?」
ふわっと体が宙に浮いた。
膝の裏も友哉の腕で支えられていて……僕は友哉に軽々と抱き上げられていた。
「ごめ…ん……」
ごめん、走り込みの邪魔して、ごめん…。
「しゃべんな。苦しいんだろ」
見上げると友哉の顔が心配そうに曇っている。
そんな表情、友哉には似合わないのに……ぼくがそんな表情にさせてるんだね。ほんと、ごめん…。
ごめん、ってばかり思ってるのに、体は思うように動かなくて。
抱き上げられて運ばれながら、僕は目を閉じて、友哉の胸に頬を寄せていた。
力強いけど、なんだか不安げに早い、心臓の鼓動が聞こえる。
その音を聞きながら、僕はいつのまにか気を失っていた。
最低でも校舎の玄関までは笑顔で走って、友哉に「じゃあねっ」って手を振って別れようと思ってたのに。
もう隠しようがないほど、胸がゼイゼイいって、足がガクガクする。
つまずいて地面に膝をついてしまった。
「どうした、あゆみ!」
二、三歩行き過ぎた友哉が、あわてて戻ってきてくれた。
「…だいじょ、ぶ、だから……」
友哉は走り込みの途中なんだから。
僕のせいで、足を止めたりしちゃ、いけないんだから。
そう言いたいのに、息が苦しくて、言葉が出ない。かわりに、たてつづけに咳が出た。
「全然、大丈夫じゃねーじゃん!」
友哉の腕が背中に回されたのを感じた。
「ゆぅ…や…?」
ふわっと体が宙に浮いた。
膝の裏も友哉の腕で支えられていて……僕は友哉に軽々と抱き上げられていた。
「ごめ…ん……」
ごめん、走り込みの邪魔して、ごめん…。
「しゃべんな。苦しいんだろ」
見上げると友哉の顔が心配そうに曇っている。
そんな表情、友哉には似合わないのに……ぼくがそんな表情にさせてるんだね。ほんと、ごめん…。
ごめん、ってばかり思ってるのに、体は思うように動かなくて。
抱き上げられて運ばれながら、僕は目を閉じて、友哉の胸に頬を寄せていた。
力強いけど、なんだか不安げに早い、心臓の鼓動が聞こえる。
その音を聞きながら、僕はいつのまにか気を失っていた。

