私は人を信じない

年が開けて新学期も始まった朝の9時前。いつもはまだ家にいる俺にとって、この時間に学校に来ることはまず無い。
だが、今日はそんなの関係ない。
寺山が気になって仕方ない。
もし寺山がいなかったら…
あいつが被害者かも知れない。
久しぶりに2年3組の扉を開けた。
「あれ?樋口じゃねぇか。珍しいな。」
「あ、ああ。」
「じゃあ、ホームルーム始めるぞ。
まず言わなきゃいけないのは、もうニュースとかで知ってるかもしれないが、寺山が…冬休み中に、バットの様なもので殴られた。」
俺は、何も考えられなくなった。
本当に、本当に寺山が殴られただなんて。
「あ、俺、眠いわ。屋上行ってくる。」
教室にいられなくなった。