「オイ。何やってんだ。お前ら。」
いつもとは違う低い声で羽田先生は言った。
「細田さんを殴った仕返しですよ。先生。」
「だから、お前ら寺山がそんなことすると思うのか?」
羽田、お前どんだけ私をかばうつもりなの?下手したらクビになるんだよ?命知らずな奴め。
「先生!香菜、また梨奈さんに怪我させたんですよ!?」
は?
「私、昨日帰るの遅くなっちゃって、急いで帰ってたら、後ろから突然押されて、低い階段なんですけど、そこから落ちちゃって…押した人は暗くて一瞬だったのでよくは見えませんでしたが、山佐高のセーラー服で、黒髪の腰あたりの長さの人だったので…」
さらにお前は私に罪を重ねるつもり?
どんだけ私を嫌ってんだよ。
「はぁ?私やってないけど?昨日の放課後は家帰ってから一歩も外出てないよ?バイトもなかったし…」
「嘘つくんじゃねーよ!だったらお前以外に誰が細田を怪我させるんだよ!細田が嘘つくと思ってんのか!?」
いきなり後ろの席の霧島勇太が殴ってきて怒鳴ってきた。
「いや、細田が嘘ついてるんだけど。私は思ったことしか言わないし、細田の言ってること全部嘘だよ。目覚ましなよ。皆。」
多分一番正論言ってるの私だと思う。
「先生!私達を信じてください!こんな、人を怪我させた上に反省もしないで、自分がやったなんて言ったくせに後からやってないなんて言い出す奴なんて、信じなくていいんです!お願いします!」
私のこと酷くしすぎだろ。梨奈。