さすがにここまでくると…
気付いてしまう。どんなに鈍感でも。
「俺、沢野先生が好きなんだ…」
言葉にするとより一層はっきりと。
でも何で? 俺はこれまで一度も沢野先生に恋愛感情を抱いてなかったし、沢野先生のことをいやらしい目で見たことも一度もない。
それに、
理由が何であろうと俺はもう人を好きになったらいけないんだ。
たとえ男でも、女だとしても。
俺は静かにクラスのドアを開けた。
「あ、佐野先生かえってきたー」
「どこ行ってたんだろ」
生徒は俺がどこに行っていたのか気になっている様子だった。
一人の生徒が直接、「どこ行ってたんですかー??」と聞いてきたので、
俺は「あぁ、教務室に忘れ物して。」と、苦笑いで嘘をつく。
生徒はなーんだ。と意味深につぶやいた。
その間生徒がちらほらと雑談をはじめたので、沢野先生は注意をして。
その姿にまた、俺は惚れてしまうのだった。