季節は夏から秋に変わり、俺のアホな友人達には彼女が出来ていた。
二人は、あの合コンから地道にグループ交際を続け見事に夏休みの間に恋の花火を打ち上げる事が出来たみたいだ。
俺はと言うと、グループ交際に忙しい二人にほったらかしにされたおかげで、ゆっくりと祖父が所有する避暑地の別荘で一人過ごした。
夏休み明けのテストを受ける為久しぶりに学校に顔を出した。
テストは、午前中で終了。
とりあえず一服して今日の予定を立てようと屋上に向かった。
屋上のドアを開けるとソファに二人の男が燃え尽きたボクサーの様に沈み座っていた。
「お前ら二人何燃え尽きてんの?」
真央が小さな声で
「継人さん今日のテストどうだった?」
と俺のテストの手応えを訪ねて来た。
「三教科自己採点287点ぐらいかな?お前らは?」
「はぁ~っ?自己採点って答えがわからないから出来る訳ないだろ?それに俺らのこの姿見て解るだろ?」
「まぁ…キンヤは?」
「俺は、テストの不出来よりも改めて継人が羨ましいと思って…勉強も出来て、喧嘩も強くて、女のコにだってもてるし…神様は不平等過ぎるよ。何で継人だけ?」
「うーん、幼い頃の努力と大半は遺伝子のおかげなんじゃないの?」
「アカジさん聞きました?彼のこの台詞!余計落ち込んじゃいますよ…」
まっ二人の様子見た時から大体想像出来たが、たかが学校のテストでここまで落ち込むとは…
「キンヤ君。確かにそこにいる男は憎いぐらい何でも持ってるがそんな彼でも持っていないモノがあるじゃないか?」
真央は、急に何か舞台じみた台詞を吐いた。
それに呼応する様に、
「何ですか真央さん、彼が持っていないモノとは?」
キンヤも演者になりきる。
嫌な予感がした…
こいつらがこんなテンションの時は大体何かに巻き込まれる。
夏休み前の合コンもそうだし、去年の秋の「山籠り熊鍋食べようツアー」もしかり、とりあえず何か企んでる。