僕の名前は、金本博也。
この子犬の様な甘いマスクを武器に世の女性を虜にしている(自称)今年26歳になる可愛らしい好青年だ。
仕事は、祖父の代から続く不動産業を受け継ぎ今は、産まれ育ったS市を離れてこのK市にある支店の支店長として勤めている。
公私共に順調な僕にも1つ大きな悩みの種がある。
それは、子供の頃からの付き合いの友人だ。
そいつは、1ヶ月前に「俺会社辞めて今度店出すから。」
と突然今まで常務として勤めていた大企業を何の相談もなしに辞めた事を電話一本で告げて来た。
そして俺に色々とお店の開店準備を手伝わせるのはいいが、お店の名前も考えてなくて、さっき看板を発注していた業者の方から、本日中に連絡下さい。と最後通告された…
明後日Openの予定のはずなのに何を考えてるか解らない。
悩みの種を刈り取るべくっうか業者の信用を失わない為にそいつに会いに行った。
そいつがお店を構える並木道は、若者でいつも溢れていて、歩いてるだけで可愛い女の子を見れて幸せな気分になる。
並木道のはずれの悪の巣窟に着く頃には、僕の胸は幸福感で満たされていたが、これから戦う相手の手強さを十分承知しているので気を引き閉めてドアを開けた。
そして悩みの種の名前を精一杯叫んだ。
「継人ーっ!」
悩みの種は、耳を指で押さえながら
「どうした?でかい声出して。」
何食わぬ顔で山積みの段ボールの影から身を現した。