屋上で真央が言ってた台詞が頭に残っていた。
ただ自分の人生で得た経験で一つだけ解った事がある。
俺は、多分「愛」と言う感情を未だ理解していない。
産まれてすぐ母親に捨てられ、引き取られた黒川家でも俺は孤立していた。
そして孤立していた俺に優しく接し、唯一身体も心も許した女性に裏切られた。
彼女は、俺の身の回りの世話をしてくれていたメイドの一人だった。
歳は19と若く、明るく良く気がきく女性だった。
黒川家で孤立していた俺に、優しくしてくれた。
そんな彼女に、俺は、心を許し始めた。
学校での出来事、キンヤの話し色々話した。
彼女は、いつも優しく微笑み、時には驚きそれでもちゃんと俺の話を聞いてくれた。
幼い俺は彼女に自然と惹かれる。
そして、ある晩彼女に身を任せた。
13才の夏。俺の初体験だ。
夏から秋に季節は変わり、俺達は、その間何度も身体を重ねた。
幸せだった。
身体を重ねるだけでお互いに理解出来る様な感覚に錯覚していた。
ただ幸せは、長く続かなかった。
俺は、聞いてしまった。
「計画通り継人様は、私に夢中です。」
「そうか…所詮知能は高くても、女も知らぬ餓鬼に変わりない。」
「兄さんが言った通りこれであいつは、俺達兄弟の手の内に要るようなもんだね。」
それは、偶然だった…
たまたま学校を早退して屋敷に帰り、たまたま普段あまり寄りつかない食堂の冷蔵庫に向かう途中、食堂で兄達二人と彼女が話している声を聞いた。
一瞬で理解出来た。
自分が過ちを犯していた事を。