少ししょぼんとしているキンヤさんを元気づけようと、美月ちゃんを抱き抱えてキンヤさんの後ろに立った。
「キンヤさん。ほら美月ちゃん見て下さいよ。本当可愛いんだから。」
背中ごしにキンヤさんに呼びかける。
キンヤさんは、くるりと私の方を振り向くと「あっ美月ちゃんじゃん?!本当可愛いね。」
目を輝かせ、笑顔で美月ちゃんを見つめる。
キンヤさんは私を見て、
「その顔を見る限りもう大丈夫みたいだね。」
と微笑む。
さっきまで子犬みたいにはしゃいでいたキンヤさんと違いその微笑みと言葉から大人の男性の優しさが伝わる。
来たーっ!!!
このギャップの激しさ。
これやられたら絶対女の子は、目がハートになっちゃうくらいの落差ありますよ!
けど、キンヤさんのそんな一面も知ってたから笑顔で元気よく、
「はいっ!」
と答えた。
キンヤさんは私の返事を聞くなり安心した様にまた子犬に戻り、私の腕の中の美月ちゃんに向かって変な顔をしたり、可愛いなぁ~とにやけている。
「さてキンヤも来たことだし、飯にするか!」
カウンター内で有史さんが切り出す。
恵子さんは、カウンターテーブルの前にせっせと料理を並べ始めた。
私は、キンヤさんに美月ちゃんを預け、
「恵子さん。私手伝います。」
と手際よく動く恵子さんの隣に立った。
「大丈夫ですよ。笑美花さんは、今日は大事なお客様なんだから。」
と言われたが、少し強引気味に恵子さんのお手伝いをした。
恵子さんの教えてくれた食器棚からお箸や、取り皿を出したり、綺麗に盛り付けられた料理を運んだ。
「笑美花さんは、良くお母さんのお手伝いをされてたの?」
と恵子さんは質問してきた。
「はいっ。母は、仕事が忙しくて、家の事は毎日私がしてました。」
私は、病院でのリハビリ生活を終えて退院してすぐ母親との二人だけの生活が続いた。
看護師をしていた母親は忙しくて、家の事はほぼ私がしていた。
料理、洗濯、掃除どれもリハビリ後の私には、凄く新鮮で毎日それなりに楽しくやっていた。だからさっきも準備をする恵子さんを見て自然と体が反応したのだろう。
「どうりで手際が良いはずですわ。」
「笑美花ちゃんはきっと将来良いお嫁さんになるよ。」
私達のやり取りを聞いていた有史さんにも誉められた。