急に倒れた継人さんに二人は驚き、有史さんは、
「継人!継人!」
と耳元で呼びかけたらしい。
継人さんは有史さんの懸命な呼びかけのおかげで目を覚ましたのか、
「有ちゃん、耳元で男の声とか勘弁。大丈夫だから。」
と立ち上がり座敷に寝転んだ。
「今救急車呼びますから!!」
慌てて携帯を取る恵子さんの姿を見た継人さんは、
「大丈夫だから…安心して気が抜けただけ。それより恵子さん今何時?」
慌てる二人に落ちつくように促す継人さんは、時間を気にしていた。
恵子さんは継人さんに時間を教えると、
「なら帰らないと。あいつらが心配するし、恵美花は明日も学校あるから…悪いけどタクシー呼んでもらえないかな。」
気丈に振る舞ってる様だが継人さんの声からは、疲労の色が濃く出ていた。
恵子さんは、継人さんに言われるがままタクシーを呼び、心配でお店まで着いて行く事にした。
タクシーに乗るまで心配する有史さんに、
「有ちゃん。明日俺のわがまま忘れないでね。」
無理して笑顔を作り継人さんはタクシーに乗り込んだ。
タクシーのシートに座るなり継人さんは目を閉じ眠りについたらしい。
その様子を見て、恵子さんは、継人さんの凄さや優しさに改めて気づいたと話す。
自分がキツイはずなのに、そんな素振りや言動は一切無く、逆に私達をこの2ヶ月間励まし、支え、それは自分の肉体が限界を越えても変わらない。
感謝しても感謝したりない。
けど彼は、そんなつもりで私達を助けてくれた訳ではない。