ビルを出た私達二人はまた人混みに紛れる。
継人さんは、そんな沢山の人がいるなかでもやっぱり目立ち、女性の視線が彼に向けられてる事に隣を並んで歩く私にも伝わる。
「継人さんやっぱり目立ちますね。」
無表情プラス無口な継人さんに、私から話しかけてみる事にした。
「はぁ?何言ってんの?向こう見てみろよ。」
と3mぐらい先の大きな交差点の前で信号待ちをしている、男の人達を指さした。
継人さんに言われ彼達を見ていると、そのうちの何人かと目が合う。
「さっきからずっと何秒か置きにお前の事見てたよ。」
継人さんは、呆れた様な顔で私を見た。
「えっ?!」
つい声を出してしまった。
「お前鈍感だろ?あいつらだけじゃないよ。他の奴らもお前のこと見てるよ。俺より目立ってるよ。」
お得意の悪魔の微笑みを見せる。
えーっ私?確かに言われて見れば、行き交う人達からの視線を感じて来た…
「あのカップル素敵だよね♪何かの撮影かな?」と何処から若々しい女の子の声が聞こえた。
急に恥ずかしくなった。こんな経験今まで無かったし、何か誉められてるみたいで変に照れてしまう。
照れを隠そうと必死で、尚且つそれを継人さんに悟られない様にサラリと話題を変えた。
「次は、何処に行くんですか?」
継人さんは、左隣を歩く私を見てフッと小さく笑い、
「女に逢いに行くよ。すっごい楽しみ♪」
そう言うと前を向きまた歩き出した。