「さて笑美花ちゃんも綺麗になった事だし奴に復讐に行きますか?」
奴とは勿論継人さんの事だ。
「はいっ!」
私も美紀さんと一緒に目を輝かせる。
「じゃぁ私が呼ぶまで少しまっててね♪」
美紀さんはルンルンと更衣室を出た。
「笑美花ちゃん良いわよ。」
ドアの向こうで美紀さんの声。
少しドキドキしながら更衣室のドアを開ける。
ドアを開けると笑顔の美紀さんとその隣に継人さんが立っている。
継人さんは、ただ黙って私を見ていた。
「継人黙ってないで恵美花ちゃんに何か言うことあるんじゃないの?」
美紀さんは、肘で継人さんを小突いた。
継人さんは、左耳の裏をかきながら、
「似合ってんじゃないの。」
と言い、私に背を向けお店の出入り口に向かった。
自分の予想と裏腹な台詞に拍子抜けした
私のイメージする継人さんなら
「連れて来て良かった。とても素敵だよ。」
的なシンプルだけど女の子が喜びそうな恥ずかしい台詞をさらりと言うものだと思っていた。
「今の見た?似合ってんじゃないの?だって。継人多分照れてるよ。」
美紀さんは、笑いを堪えながら私の肩に手をかける。
「えっ照れてるんですか?!」
「多分ね。私もあんな継人初めて見たから私の勘なんだけどね。あぁ~っ良いもん見れた。笑美花ちゃん作戦大成功。」
笑いを堪え切れずお腹を抱えて笑う笑美花さんの言葉を聞いて、何だか急に継人さんが可愛いく思えた。
だっていつもクールで女性に優しくてエセ王子の継人さんがまるで好きな子に意地悪する小学生の男の子みたいに思えたからだ。
「ははっ本当だいつもの継人さんじゃないですね。」
私も美紀さんと一緒に笑った。
さっき美紀さんが言ってた
「今の自分を楽しむ」って言葉とおり、
今心から楽しいと思える。
継人さんは、笑い合う私達の方を振り返り不機嫌そうに
「何笑ってんの?おいてくよ。美紀ThankYouな。」
と言い、私を待っててくれている。
「あーっ腹痛。継人また笑美花ちゃん連れて来てね。笑美花ちゃんもまた遊びにおいでよ。思いっきり楽しんでおいで。」
美紀さんは、私に手を振りウィンクした。
「はいっ!今日はありがとうございました。」
手を振る美紀さんに深々とお辞儀をして、出入り口の前で待つ継人さんを追いかけた。
足取りは、軽い。
だって今凄く楽しいから♪