どれくらい抱き締めただろう?
暫くして、笑美花は蹲った顔をあげて俺を見つめる。
「もう、大丈夫です。すいません。」
「そっか。」
優しく手を振り解き、小さな頭を撫でた。
「今日は、もう良いから帰れ。後は、俺が片付けとくから。」
「はいっ…あのっ…」
「明日、色々話すよ。それ共、このまま俺と一晩過ごす気か?」
顔を真っ赤にして、俺をじっと見つめる。
こんなベタなリアクションする女なんて今時絶滅種だが、一種のマニアにはたまらないだろうが、生憎俺にそんな趣味は無かった。
撫でてた、手を止めてカウンターの奥に設置されたレジへと向かいやりかけのレジ閉めを勝手に引き継ぎやり始めた。
笑美花は、俺の素っ気ない態度に少し戸惑った様だがハンガーにかけていた緑色のカーディガンを羽織り、帰りの支度を整い始めた。
その様子を見ていると数秒おきに俺の方をチラチラとチラ見する。
「心配しなくても、明日ちゃんと晴れるから。」
「えっ?」
「花見行くんだろ?」
「はいっ!」
やっぱり、こんな事の後だから気まずかったのだろう。
明日の花見が気になってた様子だった。
俺が再度花見に行く意思を示すと、過剰反応して喜ぶ姿を見て、俺自身少し安心した。
「継人さん、明日楽しみにしてますね。じゃあ…お先に失礼します。」
笑美花の満面の笑みがあいつにダブる。
「お疲れ様。」
俺は、動揺を悟られるぬ様に平静を装い笑美花を送り出した。
レジ閉めを終わらせ、シンクに向かいテーブルを拭く為にテーブル拭きを濡らした。
水の冷たさが俺の高鳴る鼓動を落ち着かせるのに役立つ。
一通りテーブルを拭き終わり、ソファに腰を下ろした。
自分の中に少しでも、良心が残っているのならこのまま何処かへと消えてしまいたい。
俺の選んだ選択が間違ってるのか、あいつの選んだ選択が間違ってるのか?
携帯を取り出しキンヤへとかけたが、相変わらず?呼び出し音が鳴るだけで、あいつのキャンキャン小うるさい声を聞ける筈もない。
キンヤとは、日曜日JINで別れてから連絡が取れない。
なぁ、教えてくれよ。
俺が狂ってるのか、あんたらが狂ってんのか?
世界が狂ってんのか?
俺には、解らない。
だから、一回全部壊す。
もう、アクセルを踏んでさっきハイウエイに乗った。
行き着く先が天国でも地獄でも構わない。