継人の妙なリクエストに応えてあげる為に、久しぶりに自宅のキッチンに立った。
もう何年も誰かの為に料理をした事などなかった。
「あっ、普通そうなんですね。」
継人は、少しの沈黙の後、短くもこれまでの生活を表す一言を呟く。
私自身もそうなのだが、私達が育った黒川の屋敷では、住み込みのシェフが毎日の食事の準備を行っていた。
だから、家庭的な料理と言うモノのイメージが想像しにくかった。
そんな、当たり前の気遣いが出来なかった自分に少し嫌気がさした。
「ごめんね。あまり気にしないで。」
「別に気にしてませんよ。もう慣れましたから。」
ソファに座りテレビを見ている背中が少し寂しくも思えた。
そして、自分が継人から奪った当たり前の幸せの存在が彼に不憫な思いをさせている事を改めて自覚した。
「出来たわよ。TV消してこっちにいらっしゃい。」
私の呼び声と出来たての料理の臭いに誘われ継人は、ダイニングルームの椅子に腰掛けた。
「へぇー、思ったよりまともかも。」
テーブルに並べられた、味噌汁と卵焼きとご飯を眺めた後、対面に座る私を見つめる。
どうやら、見た目は取り敢えず合格点のようだ。
私達は、いただきますの合掌をして少し遅いディナータイムに突入した。
「リアさんの卵焼き甘いんですね。」
「そうね。甘い卵焼きは嫌い?」
「いや、案外いけますよ。味噌汁も美味しいし。」
「そりゃ良かった。」
継人は、黙々と料理を平らげていった。
外食の時は、綺麗に食事をしていたが、今日はなんだか少し幼さが残るガツガツとした感じに思えた。
「リアさん、子供とかいいないんですか?」
継人の質問に、箸を止めた。
「どうしたの急に?」
「いや、ご主人を亡くしたのは、知ってたけどお子さんはいないのかな?って思って。」
「そうね。いないわ。」
まさか、目の前にいるだなんて言える筈もなく、短い嘘を着いた。
「変な質問してすいません。お詫びに、今日は口数が少ないリアさんの質問に何でもお答えしますよ。」
私の微妙な心情を察したのか、継人は気まづそうに、私の方をチラリと見て呟く。
「そうね。なら家族は?」
「母の父に当たる義父と、叔父、叔母に当たる兄弟が三人。戸籍上は、その四人が俺の家族です。」
「ふーん。君の口ぶりだと随分と家族に愛着がないみたいだけど、何で?」
ずるい私は、継人の言葉に甘えて図々しく質問を続けた。
もう何年も誰かの為に料理をした事などなかった。
「あっ、普通そうなんですね。」
継人は、少しの沈黙の後、短くもこれまでの生活を表す一言を呟く。
私自身もそうなのだが、私達が育った黒川の屋敷では、住み込みのシェフが毎日の食事の準備を行っていた。
だから、家庭的な料理と言うモノのイメージが想像しにくかった。
そんな、当たり前の気遣いが出来なかった自分に少し嫌気がさした。
「ごめんね。あまり気にしないで。」
「別に気にしてませんよ。もう慣れましたから。」
ソファに座りテレビを見ている背中が少し寂しくも思えた。
そして、自分が継人から奪った当たり前の幸せの存在が彼に不憫な思いをさせている事を改めて自覚した。
「出来たわよ。TV消してこっちにいらっしゃい。」
私の呼び声と出来たての料理の臭いに誘われ継人は、ダイニングルームの椅子に腰掛けた。
「へぇー、思ったよりまともかも。」
テーブルに並べられた、味噌汁と卵焼きとご飯を眺めた後、対面に座る私を見つめる。
どうやら、見た目は取り敢えず合格点のようだ。
私達は、いただきますの合掌をして少し遅いディナータイムに突入した。
「リアさんの卵焼き甘いんですね。」
「そうね。甘い卵焼きは嫌い?」
「いや、案外いけますよ。味噌汁も美味しいし。」
「そりゃ良かった。」
継人は、黙々と料理を平らげていった。
外食の時は、綺麗に食事をしていたが、今日はなんだか少し幼さが残るガツガツとした感じに思えた。
「リアさん、子供とかいいないんですか?」
継人の質問に、箸を止めた。
「どうしたの急に?」
「いや、ご主人を亡くしたのは、知ってたけどお子さんはいないのかな?って思って。」
「そうね。いないわ。」
まさか、目の前にいるだなんて言える筈もなく、短い嘘を着いた。
「変な質問してすいません。お詫びに、今日は口数が少ないリアさんの質問に何でもお答えしますよ。」
私の微妙な心情を察したのか、継人は気まづそうに、私の方をチラリと見て呟く。
「そうね。なら家族は?」
「母の父に当たる義父と、叔父、叔母に当たる兄弟が三人。戸籍上は、その四人が俺の家族です。」
「ふーん。君の口ぶりだと随分と家族に愛着がないみたいだけど、何で?」
ずるい私は、継人の言葉に甘えて図々しく質問を続けた。
