常務は、話しを聞いて酷く苦々しい表情をしていた。
「そうかぁ…それじゃあ、私は初めから、あの男に利用されていたのか。」
「はい。彼の目的は、黒川グループを中から崩壊させる事にあったとしか私には、思えませんでした。」
「いつから、彼の狙いに気づいたの?」
「俺がライバル店を一軒潰した時です。本当なら、もっと会社単位どうしでの問題に膨れ上がっても良いのに、不自然な位何も無かった。だから、多分内通者が俺の側にいるんだと思いました。」
この子の才能の1番の根元は、小さな不自然を見逃さない部分だと思う。
それが例えどんな状況でも…
継人は、最初から、自分に良くしてくれた専務を疑っていた、そして、自分が成功を納める中で彼にどの様なメリットが産まれるのか考えた。
出る杭を打つべき立場の人間が、支える不自然に、彼が東條グループ内での権力や利益に対して執着してないと思えた時に、ライバル店を潰した時の不自然と繋がった様だ。
「で、予想したんですよ。多分専務は、その内俺が自分の手に負えない存在になると気づく、そうなると自然と常務と手を組むだろうってね。」
継人は、専務の裏切りに気づき、専務の秘書の一人に近づき、彼の行動を逐一自分に報告する様に頼んだ。
そして、専務と常務が今日の会議で自分の公開処刑を結構する企みを察知すると、常務派の役員に揺さぶりをかけた。
「私に力を貸して下さい。常務は、専務を自分の派閥のNo.2として迎えるつもりですよ。貴方達のこれまでの長年の苦労も無意味に終わりますね。って感じで揺さぶったんですが、全員それを否定し、貴方を信じていましたよ。そこで、今日あのパフォーマンスを実行に移したんですよ。多分皆さん、専務が貴方の隣に来た瞬間、自分達が貴方に裏切られたと錯覚してショックだったでしょうね。」
「そうか…それは、彼等に悪い事をしたな。」
常務の力ない台詞が彼の今迄自分を支えてくれた役員達に対しての、罪悪感が現れていた。
「最後まで、専務の裏切りをお二方に報告しなかったのは、全て私の推測内での事でしたから。けど、今日の会議で確信に変わり、こうやってお話しをしています。
専務と付き合いの長いお二方の心中を察すると心苦しいですが、今は一刻も早く東條グループの結束を固める事を最優先だと思います。」