確かに、感動の再会って訳では無かった。
どちらかと言えば、今は継人が無事に成長している姿を確認出来た嬉しさと、今の継人のあの氷の様に冷たい危うさへの心配が入り乱れて複雑な気持ちだ。
「ねぇ。マスター、継人を少しの間見てどう思いました?」
「うーん、あの子は、自分でも言ってたけど、きっと何にも期待をしないタイプの人間に見えたよ。多分、自分自身にも期待してないんじゃないかなぁ?」
マスターは、職業柄沢山の人間と接して見て来たので、そんな彼が言う人物像には、説得力がある。
「やっぱり。」
「それに…」
マスターは、少し言葉を詰まらせて考え込んだ。
「それに、凄く悲しい瞳をしていた。過去に大切なモノを無くした人と同じ様な瞳をしてたよ。」
そう言って、私の瞳を優しく見つめた。
「そうですか…」
「やっぱり親子だね。良く似ているよ。」
何故だかマスターは、優しく微笑んでいた。
それに、私自身見た感じは、麗人さんにそっくりだと思うんだが。
「そうですか?継人は、父親似ですよ。あの小生意気な性格は、個人の資質だと思いますけどね。」
「ははっそうかい?私は、麗人さんとは、一回しか面識が無いから解らないけど、母親の君が言うんならそうなんだろう?」
何が可笑しいのかマスターは、やけに上機嫌だ。
「やけに上機嫌ですけど、継人にも勿論誰にも私達が親子だとは、他言しないで下さいね。」
お喋りなマスターに大きめの釘を刺して置いた。
解った解ったと流されたので、もう一本釘を刺した。
「心配しなくても、こんな古臭いBARに足を運ぶのは、JAZZ好きと昔からの古い友人と変わりモノの君ぐらいだよ。」
幾つになっても、マスターは私を子供扱いする。
きっと、20年前の初めて会った頃から、マスターの中での私は年を取ってないのだろう。
けど、こんな性格のこの人だから、今でもこうしてこの場所に気兼ね無く足を運び、羽を伸ばせる。
私は、三本目の大きな釘をマスターに刺して、BARを後にした。