沢山の人が行き交うアーケードの中、私達二人はどう見えるのだろう?
友達?兄弟?恋人??
美容室を出て継人さんの隣を歩いているが特に会話がなかった。
私達の周りを通り過ぎる人達が楽しそうに会話をしているのを見て羨ましく思えた。
そう言えば、私こうやって男の人の隣を歩いた事なんて無かった。
私の頭の中には、父との記憶は無かった。
母親に聞きたいと思った事もあるが、それは聞いてはいけない事だと何となく思えてまだ聞いてはいない。
高校生の時も大学生になってからも恋人はいないし…
正直男性とあまり接した事が無い私は、変に緊張していた。
ふと継人さんが何を考えてるのか気になって彼の顔を見た。
今さらだが、本当に綺麗な顔をしている。
透き通る様な白い肌に神秘的な緋色の瞳。童話や映画に出て来る様な王子様のようだ。
「ねぇっあの人凄く格好良くない?」
すれ違った三人組の私と同世代の女の子グループの中から黄色い声が聞こえた。
「あの二人って付き合ってるのかな?」
いえいえ。そんな事ございません。ただ連れ回されてるだけです。ある意味ご主人様とその下僕状態ですよ。
私は、心の中で泣きながら彼女達に答えた。
「何落ち込んでんの?着いたよ。」
継人さんは、海外の有名なブランドが何件も入っている高級ファッションビルの前で立ち止まった。
「ここは?」
継人さんの横で、唖然と立ちつくす私。
「良いからちょっとついて来て。」
そう言うと、そのままビルの入り口に歩き出す。
私は、ただ子犬の様に継人さんの後ろを着いて行った。