私は、過去に大切なモノを守れず手放した罪深きこのREALを生きる事を決意し、本名を捨てた女。
そんな私にも、神の救いがあるのかななんて柄にもない事を最近良く考えてしまう。
私は、数年前から亡くなった主人が残した会社を引き継ぐ事にした。
幸い昔、大学で専攻していた経営学の知識もあり会社全体の収益も年々順調に上がっていた。
ある日、ここ数ヶ月異常に売り上げが伸びている店舗を見つけた。
数ヶ月前までその店舗は、グループの中でも赤字が目立ち、年内の閉店も考慮していた。
私の会社は、フード業界、ナイトレジャー業界を中心に店舗の経営、展開を中心に行っていた。
問題の店舗は、亡くなった主人が数年前のホストブームに乗っかり出したホストクラブだった。
私は自分の目で、お店の現状確認をしたくて、営業中にそのお店を視察する事にした。
私は、いつも22:00近くまで社長室にこもり、資料に目を通したり、前日の各店舗の営業報告を確認したり、翌日の会食や会議の予定を確認していたので、いつもの通りそれらを済ませて、視察に向かった。
K市の繁華街にあるビルの一階にテナントを構えているのだが、最初に驚いたのは、周囲の環境の変化だ。
ビルの周りの道は綺麗に掃除されていて、ゴミ一つ落ちてない。
店舗の入り口には、幾つかの観葉植物と綺麗に飾りつけられた花が来店者を出迎えていた。
ほのかに香る花の香りに誘われる様にドアを開けた。
店内は、平日のにも関わらず、満席に近い状況だ。
お店の隅々まで清掃がきっちりとされており、一瞬三ツ星レストランかと錯覚してしまうほど清潔的で華やかだ。
私の来店に気付いたのか、店内で待機していたエスコート係の男の子が私の元に近寄り、心地よい挨拶で出迎えてくれた。
私は、彼に事情を説明すると、そのまま空いてるボックス席へエスコートしてもらった。
暫くして、マネージャーが挨拶に来た。
マネージャーにお店が何故ここまで劇的に変わったのか説明を求めた。
私が以前このお店を訪れた時は、例えるならサファリーパークの様に、煩く汚らしい印象があったが、今は、サファリーパークどころか大人のお洒落な社交場へとなっているのだ。